「アフリカ系お兄ちゃん」


 山手線の電車で。

 トンがったブロンド髪の彼女と二人、周囲の目も気にせずに、優先席に座ってジャれ合っていた彼。

 でも停車した駅で、妊婦さんが同じ車両に乗ってきた時。

 「ドウゾ、ドウゾ」と席を譲る仕草。

 妊婦さんは「大丈夫です」と、固い表情。


 すると彼は、

 とても自然に、

 すごくきれいな日本語で、

 一語一語ハッキリと、

 深いニュアンスを込めて言ったのです。

 「今 が 大事 です から」…。


 近くにいた(それまでどちらかというと迷惑顔だった)大学生風の男性が、その瞬間に咲かせた小さな笑顔も好かった!


 「黒人」なんて呼べない。

 「黒人の人」もオカシい。

 「アフリカ系のお兄ちゃん」…うん、この呼び方がしっくりくる。


 東京では、当たり前の風景? ならば、石川県で「高校生している」教え子達に伝えたい。

 「先生、この間東京に行って、こんな場面に出会って、心が温まったよ。

 だから、いろんな事情が許すなら、県外の東京とか大阪とか、国際的な都市にある大学に進学して、

 そんな環境で数年間学ぶことを薦めたい」と(^_^)。